膨張コンクリートを使った生産技術研究所An棟について
生産技術研究所の建物は,A〜F棟までの6棟からなっています.20年ほど前に建設が始まり、F棟から順に竣工しました.しかし、建物のコンクリート壁や柱には、竣工直後から目に見えるひび割れがいくつも発生しました.ひび割れは,コンクリート内部の鋼材を腐食させ,構造物の早期劣化を招く原因となる恐れがあり,また,外観上の瑕疵にも値します.ひび割れの表面には撥水材を塗布し,漏水を防止する措置を講じることになりましたが,継続的なケアが必要で,建物の長期的な維持管理費用を増大させることは明らかでした.建設途中からこうしたひび割れを問題視していた本研究室では,ひび割れの発生防止に有効な膨張コンクリートの使用を事務局に提案し,最後に残されたA棟(現在ではAn棟とAs棟の2棟があります)で使われることが決まりました.膨張コンクリートは特殊な材料を使用するため,対策にはおよそ数百万円の追加費用を必要としましたが,膨張コンクリートを使用して以降,建物にはひび割れがほとんど見られなくなり,耐久性・美観ともに健全な構造物がつくられました.